喫煙が体に悪いということについては、これまでに多くの科学的な報告が発表されています。
禁煙をした方がいいと考えている方も多いことと思います。しかし、同時に禁煙にチャレンジしたもののうまくいかず、挫折した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
タバコがやめられないのはその人の意志が弱いからではなく、ニコチンが強い依存性を有しているからで、このような喫煙習慣を「ニコチン依存症」と呼んでいます。
このようなニコチン依存症の方に対しては、保険診療でお薬を使って禁煙の手助けをすることが可能なのですが、施設基準の規定がありどこでも可能というわけではありません。
当院はニコチン依存症に対する禁煙治療の施設基準を満たしており保険診療が可能ですので、禁煙治療をご希望の方はお気軽にご相談ください。
以下に、禁煙治療の詳細について説明します。
保険適応の有無についてご確認ください
保険適応が可能かどうかは以下の基準を全て満たしているかどうかで決まります。
(喫煙歴がある程度あり禁煙が困難な人は殆ど該当するような基準です。)
- ニコチン依存症であるかどうか。これは、問診テストで診断します。
- 一日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数]が200以上
- 1ヵ月以内に禁煙を始めたいと思っている
- 禁煙治療を受けることに文書で同意している(通院の間隔やお薬の服用の仕方などを守って いただく必要がありますので、治療に対する同意が必要となります)
薬が効くメカニズムはどうなっているのでしょう
脳には、ニコチンが結合すると快感が生じる受容体(ニコチン受容体)があります。ニコチンがこのニコチン受容体に結合すると、快感を生じさせる物質(ドパミン)が放出されます。ドパミンが放出されると快感が生じ、さらにもう一度タバコを吸いたくなります。
これを繰り返していると、ニコチンが切れた時にイライラや集中力低下などの離脱症状(禁断症状)が出現するようになり喫煙がやめられなくなります。
これが、ニコチン依存症発症のメカニズムです。
当院では内服の禁煙補助薬を使用していますが、これは従来のニコチンパッチやニコチンガムと違い、ニコチンを含まないお薬です。薬の成分がニコチン受容体に結合し、タバコを吸った時と同じようにドパミンを放出させますので、薬を飲んでいるとタバコを吸いたくなりにくいのです。あとはお薬を内服しながら禁煙を継続し、その後薬を中止することで、以降も禁煙を継続できるようになります。
費用はいくら位かかるのでしょう
保険診療の適応があれば、費用負担が軽減されます。3割負担の方であれば、初診時には初診料・指導料・薬剤費を合わせ、2週間分で約3200円が必要になります。保険診療の場合には、初診と2週間後、4週間後、8週間後、12週間後の合計5回の受診が必要となり、負担額の合計は12週間(約3ヵ月)で17000円程になります。一箱300円のタバコ57箱分に相当しますので、タバコ代のことを考えると決して高くはありません。
禁煙治療をご希望の方は、お気軽に当院に御相談ください。
受診については、予約いりませんが、月曜日の夕診と水曜日の午前診以外の診療時間で来院いただくようお願いいたします。