
機能性ディスペプシアとは、胃の辺りの痛みやもたれ、すぐにお腹が一杯になって食事が進まないなどの症状を慢性的に有しており、かつ胃カメラなどの検査により癌や消化性潰瘍などの器質的な異常が確認されないもののことをいいます。
決して珍しいものではなく、ある報告では、日本人4人に1人がこの病気を有しているといわれています。
機能性ディスペプシアとは、胃の辺りの痛みやもたれ、すぐにお腹が一杯になって食事が進まないなどの症状を慢性的に有しており、かつ胃カメラなどの検査により癌や消化性潰瘍などの器質的な異常が確認されないもののことをいいます。
決して珍しいものではなく、ある報告では、日本人4人に1人がこの病気を有しているといわれています。
機能性ディスペプシアの症状は、胃が持っている様々な働きの一部がおかしくなっておこると考えられています。そこで、機能性ディスペプシアの原因を理解するためには、まずは正常な胃のはたらきを知っておく必要があります。
正常な状態の胃は、食べ物が食道を通って胃に入ってくると、胃の上部が広がって、胃の中に食べ物を留めておこうとします(貯留機能)。さらに胃の動きによって食べ物と胃液とが混ざり(攪拌機能)、消化されどろどろになった食べ物は十二指腸へ送り出されていきます(排出機能)。このように、胃には貯留、攪拌、排出という3つの運動機能があります。これらのはたらきに障害が生じると、機能性ディスペプシアの症状が引き起こされると考えられています。
また、胃の知覚過敏といって、胃が刺激に対して痛みを感じやすい状態になっている人もいます。正常であれば何も感じない程度の刺激も、知覚過敏の状態では敏感に不快な症状を感じてしまうため、胃の痛みや早期の満腹感などを訴えることとなります。
これらの胃の異常は、食べ物の刺激の強弱、心理的ストレス、肉体疲労、温度変化による刺激、ピロリ菌の存在などの様々な要因によって増悪するといわれています。
機能性ディスペプシアの診断においては検査によって、ほかの病気がないことを確認することが重要です。当院ではそのための検査として、胃カメラ、腹部超音波検査、血液検査をお勧めしています。
機能性ディスペプシアはその人のもともと有している体質のような病気で、症状が悪くなる要因は解明されてきていますが、より根本的な原因については分かっていません。
ですので、現時点では機能性ディスペプシアを完治させることはできず、症状を緩和して上手く付き合っていくことが治療のゴールとなります。
機能性ディスペプシアの症状を抑えるために、まず重要なことは生活習慣の見直しです。
食事はよく噛んでゆっくりと食べること、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎには注意すること、脂肪分の多い食事は避け、食物繊維を多く含んだ野菜などをしっかり食べること、睡眠時間を規則正しくすること、ストレスや疲れをため込まないようにすること、などの生活習慣が推奨されています。ご自身の生活と照らし合わせて、改善できる部分は改善してみてください。
生活習慣の見直しによっても症状がすっきりしない場合には、お薬を使っていただくとよいです。胃に対しての薬は種類も豊富でよく効くものも多く、院長の診療での印象としては、根気よく治療を続けていただけば、ほとんどの患者様の症状を改善できると感じています。
具体的な薬剤の話としては、2013年からアコチアミド塩酸塩水和物という機能性ディスペプシア専用のお薬が新しく使えるようになりました。実は機能性ディスペプシアの適応を正式に有している薬はこれだけなのですが、この病気の原因や症状は大変多岐にわたっているため、実際の治療ではアコチアミド塩酸塩水和物以外にも、それぞれの症状に合わせて、いろいろな作用機序の薬を使用して症状を改善させていきます。
似たような症状をお感じの方は、まずは一度クリニックまでご相談ください。